それいけヒーロー部


放心状態と化しました牧村くるみです。




反応がないのをいいことに、2回3回と離しては噛みつき、また離しては噛みつくという行動を繰り返すマリリン。





「江橋、そいつ生きてるか。」



「心臓はものすごい勢いで動いてますよ。」



「そりゃあよかった。衝撃で死んだかと思ったよ。」






人のことを放心状態にしておいてよくもまぁそんな平然と会話を続けられますね!




というか海先輩はなんでそんななんでもなさそうに観察してるのかな?


かわいい幼馴染のピンチだというのに!






「マリリン!ストップ!」


「お、復活した。」


「くるみ、俺の気持ちわかってくれた?」




マリリンが至近距離でうっとりと見つめてくるんだけど、視界への暴力だよねこれは。


イケメンの破壊力恐るべし。





「ま、マリリンはあたしのことが、好き?」


「そう。」


「…ほ、本当に?」




だってあのマリリンだよ?

勉強にスポーツに芸術に秀でていて、なおかつ外見さえも欠点がない完全無欠のチートなマリリンだよ?


神に愛されし大天使様だよ?





そんなマリリンがあたしのような小娘のことが好きだなんて、何かの間違いだと思ってしまっても仕方ないでしょう。




「何、俺の気持ちを疑うっていうの?」


「だだだだって!」


「いつもあんなに好きだ大好きだ愛してるって言ってくれてたのは嘘なんだ?」


「嘘なわけあるかい!あたしは本当に好きだと思ってる人にしか言わないよ!」


「俺だってそうなんですけど。好きでもない相手にキスなんてしないしできない。」





そう言うと、もう一度今度は触れるだけのかわいいキスをくれた。


そして満足気に微笑んだのだ。






< 216 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop