それいけヒーロー部

委員長に「やめなさい」と伝えたため、もう風紀の監視は外れたはず。



でもまだ油断ならないため、秘密の話は帰り道。


海先輩にも合わせて聞いてほしいから一緒に帰ってもらう。




「なんでオレがバカップルと一緒に帰らなきゃなんねーんだ。いじめか。」



「仕方ないじゃないですか。あたし、ここ数日風紀にマークされてたみたいなんすよ。」



「は?!なんで?お前なんかやらかしたのか?」



「いや、単なる風紀委員長の興味関心を引いてしまっただけですね。ヒーロー部関係ではないですよ。」




「…それって逆にどうなの。俺としてはとても不満なんですけど。」



「マリリン、委員長はあたしの変な行動に興味を持っただけだから、心配いらないよ!」



「おい、お前らの茶番に付き合ってる暇はねぇ。今日はバイトなんだから、必要事項だけ手短に話せ。」




海先輩の冷たい目線に急かされ、今日あったことと委員長に言われたことを話す。




「つまり、くるみが風紀委員長に興味もたれたってことと、万引き野郎に逆恨みされてるってこと、来週から風紀の見張りがつくってことな。」



「そうです。」



「把握した。興味持たれたってことは別に悪いことばっかりじゃねえ。

うまくやればこのまま風紀の野郎をこちら側に引きずり込めるかもしれない。


それに、見張りもこっちにいいように使ってやれ。お前につくってことは、近くにいる江橋とオレもそれなりに行動が制限されるが、逆に言えばオレと江橋がヒーロー部ではないということの確証を風紀に与えられる。


さらに言えば、風紀からの情報も引き出せるかもしれない。」




「…本当に海先輩って、相手を利用することしか考えてないっすね。」



流石、悪魔の名をほしいままにしているお方だよこの人は。



「誉め言葉だな。」



にやり笑いがここまで似合う童顔って、なかなかいないんじゃないかな…。





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