それいけヒーロー部


「違うって言ってんだろ!」




なんだか必死な顔でこちらに向かって突撃してくる万引き先輩。


おやおや何をそんなに焦った顔をしているのかな。


これはもしかしてもしかする?


先輩が暴力に頼ってまでうやむやにしたい、誤魔化したいのはどっちかなー?


先輩のオトモダチかなー、それとも本命の風紀かなー。




万引き先輩の攻撃を受け流しながら観察を続ける。

これはやっぱり何かを隠しているなー。





「先輩、風紀委員長と話しました?」




話かけると瞳が大きく揺れ、手が一瞬止まった。


これは風紀で脈ありかな?


でもあの委員長が悪いことして隠しておけるような器用な人には見えないなぁ。





「とりあえず暴行の現行犯逮捕ってことで、風紀室にでも行きましょうか。」




迷いの出た拳を躱し、殴ってくる勢いを殺さないように腕をつかんでそのまま投げる。



暴れられても困るためそのままひっくり返し膝で背中に乗る。





「先輩、手を出すなら、相手の実力を測ってからのほうがいいですよ。

じゃないと返り討ちにされちゃうから。」




前に一度かっちゃん先輩にやられてるのに、なんで学習しないのかしら。



万引きの件もそううだけど、この人には学習能力というものが備わっていないのだろうか。


先輩の背中に全体重をかけて押さえつけながら、あいぽんを取り出しマリリンに連絡を入れる。


マリリンがやっつけたということにすればなんの不自然もない。





「マリリーン。万引き常習犯に襲われたから助けにきておくれー。

校舎裏の死角のところよー。」




あいぽんの向こうでマリリンが焦った声で話始める。



「待ってるわよー。」




必要なことは伝えたので、電話を切り、万引き先輩へと視線を変える。

マリリンとの会話でちょっと癒されたし、先輩の話でも聞いてやるか。




「先輩はなんで万引きなんてしたんです?」




どうせ憂さ晴らしとかストレス解消とかそんなところだろ。






< 238 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop