それいけヒーロー部
「失礼しますよー。」
最初はビビった風紀室も、もう3度目ともなれば慣れたものだ。
あたしの入室に反応したのは、中にいた数名の内の2人。
忠犬小竹丸と委員長だ。
ちょうど二人で話をしていたらしく、二人そろってこちらに目を向けてきた。
「牧村さん!!どこにいっていたんですか?!
今日は江橋君が部活だからってオレと帰る予定だったじゃないですか!
いなくなってしまったので探そうと思っていたんですよ!」
忠犬小竹丸はあたしの元に駆け寄り、次々と言葉を飛ばしてくる。
おうおうご主人に会えてそんなに嬉しいか。
「なんでちょっとにやけてるんですか!
オレは怒ってるんですよ!」
完全に犬にしか見えなかったためにやけていると、さらに怒られた。
「いやー、それがですね、ちょっとある人と出会いまして。」
そこでいったん風紀室から出て、廊下に待機させていたマリリンと万引き先輩を呼ぶ。
「この先輩と、ちょっとお話ししていたんですよ。」
「え…須藤先輩とって、な何かされませんでしたか?!」
そう言えばこの万引き先輩は須藤という名前だったな。
「特に何もされてませんよー?」
「おい、くるみ。嘘つくなよ。
こいつの為になんないって言っただろ。」
「…えーだって、ちゃんとあたしと須藤先輩の中では決着がついたっていうか、もう特に思い残すことはないというか。」
先輩はちゃんと謝ってくれたし、万引きするに至った原因も知れたし、あたしの言いたいこと(愚痴)もぶつけたし。
「須藤。牧村に何かしたのか?」
そこで、今まであたしを見つめるだけだった委員長が口を開いた。