それいけヒーロー部
誤魔化したりするつもりはないようだ…とか考えている場合じゃなかった。
むしろ誤魔化してもらわないとあたしがピンチになるんだった。
というかもうピンチになってたわ。
頼む!神様、仏様、委員長様!スルーして!
「一発殴ったのか…?!牧村、体は大丈夫か?」
スルーしてくれたー!!!
あたしの体の心配を第一にしてくれる委員長優しすぎる!
「ちょっとお腹が痛みますけど、あとは特に問題ないですよ。」
あたしは被害者。
あくまで須藤先輩に一発殴られたか弱い女子高生。
返り討ちなんてできないか弱い貧弱な女子高生。
内心の焦りを一つも顔に出さずに受け答えできたあたしはなかなかの演技派である。
「お腹…見せてみろ。治療する。」
「…いいんちょ、女の子にお腹見せろとか言ったらダメですよ。」
マリリンといい、委員長といい、君たちは顔が整っているからと言って言っていいことと悪いことがありますよ。
イケメンなら何言っても許される世界は漫画と小説の中だけだぞ。
「す、すまん。デリカシーに欠けた発言だった。撤回する。」
自分の失言に気が付いたのか、顔を真っ赤にしてあたしから顔をそらす委員長。
……セクハラマリリンと違って委員長は真面目で初心だなぁ。
とか思っていたら、目の前にマリリンの背中が現れた。
委員長からあたしが見えないように立ちふさがる。
「ここにもくるみの天然たらしの被害者が…」