それいけヒーロー部
「牧村さん。すみませんでした。」
マリリンの背中に隠されていると、忠犬小竹丸がしょんぼりと耳を垂らして謝りにきた。
「いや、もとはと言えば、あたしが大人しくしていればよかっただけのことだから。小竹くんは気にしないで。」
「でも、」
「何か大きな被害があったわけではないし、先輩とちゃんとお話しして和解もできたんだ。だから、結果オーライだよ。」
小竹丸の目を見て話せば、申し訳なさそうな顔はまだしていたが、それ以上謝ってくることはなくなった。
「須藤。停学明けで女子生徒への暴行。退学になっても文句言えないぞ。」
「…わかってる。」
「ちょ、委員長!
あたしは先輩と話すことができてちゃんと納得したので、退学とかそういう処分はいらないです。」
マリリンの背中から出て委員長に向き直る。
「しかし、」
「先輩は反省したはずです。もう二度と同じことを繰り返さないと、あたしに約束してくれました。なので、もう十分です。」
「それでは他の違反者に、示しがつかない。こいつだけ許す訳には…」
ここでまさかの委員長からのナイスアシスト。
「他の違反者って…他にも何かあったんですか?」
あくまでも自然に。あくまでも無知を装って。
「いや、今後、何かあったときに示しがつかないという意味だ。」
うーん。かわされたか。
…それとも、本当に何も知らないか…?
「オレは言われた罰をちゃんと受けるよ。
こいつと話をしてすっきりした。オレはオレがしたことを認めて、これからやり直していきたい。退学というなら、それも受ける。」
「先輩…!」
「お前に投げ飛ばされて、頭すっきりしたわ。」