それいけヒーロー部
「そういえば、全く関係ない話なんだけど、くるみちゃん、沼田くんとなんかあった?」
ハム先輩の口から、今ここにはいない腹黒の名前がでてきた。
実はさっき会長に生徒会室に来いと言われたとき、あの腹黒がいるんじゃないかと一瞬考えたが、結局おせんべいの誘惑に敵わなかった。
おせんべいに罪はない。
「何かあったかと言われればありましたが、もう過ぎ去った過去の話。あたしは気にしないことにしたのです。」
「っていう割に、学校の中で沼田くんに会わないように気を付けてるでしょ?」
「なぜそれを。」
「だって沼田くんがうるさいんだもん。くるみちゃんに会えないーって。」
「あたしの隠密技能をなめてもらっっちゃ困りますよ。」
実は、教室にもたまに腹黒が来ていることは知っている。
ただ、そのたびに逃亡しているのだ。
だって、たぶん腹黒と関わると面倒なことになる。
この間の資料室の一件のこととか。
マリリンもそれを分かっているから、あたしの逃亡の手助けをしてくれている。
ヒーロー部のみんなも。
「沼田くんに聞いてもさ、ニヤニヤするだけで何も教えてくれないのよ。
そのくせくるみちゃんに会いたい会いたいってうるさいの。こうやってわざわざくるみちゃんが来てくれてる時に限っていないし。
タイミング悪い男って本当にいるのね。」
今は腹黒がタイミングの悪い男であることに本当に感謝しているさ。