それいけヒーロー部

「あいつ、たぶんここに戻ってくると思うよ。」


また窓から外を覗き込んでいる会長。

その視線の先にはきっと廊下をあるく腹黒がいるんだろう。



「あいつの友達として言えば、くっついて幸せになってほしいところだけど、お前が迷惑被ってんならそうとも言ってられないしな。ま、傷が浅いうちに振ってやれ。」



なんであの腹黒はあたしのことなんて構うんだろうか。

そういえばそこのところをちゃんと聞いたことはなかったな。



「じゃ、あたしは行きますね。ここで話してたことは腹黒に言わないでください。」


「え、振るんじゃないの?」


「さすがにここではやらないですよ。

いくら事情を知っているとはいえ、好きだ嫌いだの話を人前で堂々とできるほど無神経じゃないっす。」



「あらそう。沼田くんが振られるところ見たかったなー」


「それは流石に趣味悪いな。」




頬を膨らますハム先輩と苦笑いの会長を置いて生徒会室から出る。

さっき会長が見ていた方向を考え、足を進める。



普通に教室に戻る道筋をたどれば勝手にエンカウントするだろうという予想通り、1分後には腹黒副会長と対面していた。




「くるみちゃん。こんにちは。」


「どうも。」


「なんだか久しぶりだね。全然学校内で会えなくて寂しかったよ。」



「…あたしは別に会いたくなかったですけどね。」


「そんなー。キスまでした仲だってのに。」


「もう一回蹴り上げてあげましょうか?」


「…それは遠慮したいかな。」




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