それいけヒーロー部
「今日は逃げないんだね。」
「ちょっと話したいことがあるもんで。」
「…それはオレにとって嬉しい内容の話かな?」
「さぁ、どうでしょうね。あたしの自分勝手な話に付き合ってもらうだけです。」
「人目があっても大丈夫?」
「ダメですね。」
「じゃ、ここで。」
そう言って流れるように連れ込まれたのは、あの資料室。
「…なんだかこの資料室には縁があるみたいですね?」
「本当だね。オレにとってはいい思い出がある場所だよ。今でもここ通るとにやついちゃう。」
「……それって最高に気持ち悪いですね。」
「そういわないでよ。」
資料室の棚に背を預けて腕を組む副会長。
あたしも少し離れた棚に寄り掛かった。
「で、話って何かな?ちなみに、江橋と付き合うから諦めろとか言うつもりなら、聞かないから。」
「それは困りますね。まさにその話をしようとしてたところです。」
「…ダメだよ。聞いてあげない。」
「じゃあ、別の表現にしますね。
前にも言ったんですけど、副会長に絡まれるのが迷惑なんです。なので、あたしにもう構わないでもらえませんかね?」
「オレが本気でくるみちゃんのこと好きって言ってるのは、一切無視な感じ?」
「そうですね。だから言ったじゃないすか。あたしの自分勝手な話するって。」
「くるみちゃんさ、ちゃんとオレのこと考えてくれたことってある?」
「どういうことですか?」
「いつも江橋のこととかヒーロー部のことで誤魔化そうとするけどさ、ちゃんとオレを一人の男として意識したことはないでしょ?」
「それは、まぁ。そもそもが敵だと思ってましたしね。」
「オレが君のことを好きって言ったって、考える気すらなかった、違う?」
「…そう、ですね。」
「そんな状態の君に振られたって、オレは納得いかないわけよ。だから、この話は聞いてあげない。」
「…でも、あたしは、マリリンと、」
「それは理由にしないでよ。オレとくるみちゃんが向き合うことに、江橋は関係ない。」