それいけヒーロー部
「いいんちょ。風紀委員会の委員長って、大変ですか?」
「なんだ急に。」
「いや、昼の忙しさを見て、それをまとめる委員長は大変なんだろうなって思って。」
「…自分でやると決めたことだ。大変とか、関係ない。」
男らしいことですな。
でも、そうか。この人は自ら望んでこの地位についたのか。
そして、望めばこの地位に立てる位置にいたということ。
それがわかっただけでも収穫だな。
シルバーフレームのメガネを人差し指で押し上げて、ちらりとこちらを見た委員長。
秒で目をそらされた。
「いいんちょー、いい加減あたしに慣れましょうよ。」
「無理だ。」
「えー、そんなこと言わないでくださいよ。」
「無理だ。」
「なんでまたそんなに女子が苦手なんですか?視界に入れられないほどってよっぽどっすよ。」
風紀には関係ないだろうが、委員長と仲良くするうえで必要な情報だろう。
「……誰にも言わないか?」
「もちろん言わないですよ。あたしお口堅いんで。」
前置きをしたということは、話をしてくれるということだな。
「…オレには3人の姉がいる。」
ふむふむと相槌を打ちながら聞いた話によると、委員長は4人兄弟の末っ子で、しかも上は姉3人。
その姉にもみくちゃにされ、さらには姉の友達たちにももみくちゃにされ、さらには同級生の女子にももみくちゃにされる幼少期を過ごしたらしい。
「オレはちびだったんだ。それに、力も弱かった。」
今の委員長からは想像できない過去。
「あと、中学の時に、女子に襲われた。」
「えっ!!」
「かわいいかわいいと言ってくる部活の先輩がいて、部活終わりに襲われた。それで部活は辞めた。」