それいけヒーロー部
「マリリン、ちゃんと教えて。なんで不機嫌だったの?」
二人で綺麗とは言い難い床に座り込んで話をする。
聞いておかないと、たぶんあたしは同じ過ちを繰り返すから。
「……副会長が、」
「副会長がマリリンになんかしたの?!ぶっ飛ばしてくるね!」
「最後まで聞けイノシシ。」
「イノシシ!!」
まさかのイノシシ呼ばわりにがっくりしてしまう。
せめてウリ坊にしてほしい。ウリ坊ならまだ可愛さがある。
「副会長とちゃんと話したんだろ?」
「話し…うん、まぁ。ちゃんと見てって言われた。」
「で、アホみたいに素直なくるみさんはそれを了承した。」
「…してしまいました。」
「それは俺からすると、かなりなんとも言えない感じなんですよ。」
「ごめんなさい。でもマリリンから目移りすることなんてないよ。」
「そう言い切ってくれるのは大変うれしいですが、人間いつ何が起こるか分からないものなんすよ。」
「そうなんすか。」
「そうなんす。」
そう言ってマリリンがあたしの頭を撫でてくれる。
委員長と違って慣れた手だ。
もうマリリンには数えきれないほど頭を撫でられているからな。
ペットかなんかと勘違いしてるところもあると思う。
「マリリン。あたし、小学校に戻って道徳の勉強やり直した方がいいくらい人のこと考えてないんだと思うのね。
だからこれからもマリリンが嫌だなって思うこと、しちゃうかもしれない。もちろん気をつけるけど。
だから、そういう時は、すぐに言って。分からないまま、今日みたいにマリリンに冷たい目を向けられるのは心臓がもちそうにないんだ。」
「…わかったよ。俺もお前相手だってわかってんのに意地悪した。ごめん。」
「マリリンは悪くないよ!あたしの道徳性がないのが悪い。だから謝ったらダメよ。」
「うん。ごめん。」
ダメだって言ってるのに、マリリンったら人の話聞いてないんだから。