それいけヒーロー部
家に帰って海先輩に連絡すると、家に来いとの指令が下った。
小学校も同じなだけあって、海先輩とはご近所さんだ。
玄関で海先輩のママに捕まり、もみくちゃにされたがあとは勝手知ったる家のため、海先輩が出てこなくても勝手に進んでいく。
海先輩の部屋のドアをノックも無しに開けると、中には海先輩と葛西大魔王様と、はじめましてのお兄さんがいた。
「…お疲れ様ですー」
「お前、ノックくらいしろよ。」
「すみません。海先輩だけだと思ったもんで。」
「だとしてもノックはしろよ。」
「そうだぞくるみ。もし海がエロいことしてたらどうすんだ。」
「……それは嫌っすね。今度からちゃんとします。」
悪魔と大魔王とそんな会話をするあたしの事をガン見してくる人が一人。
「その子がくるみちゃんか。」
「そう、馬鹿。」
その紹介はひどいんじゃないですかね悪魔さん。
「あの、どちら様で?」
「えーオレだよオレ。覚えてない?一回会ってるはずなんだけどなぁ」
「え、マジすか。すみません、覚えてなくて。」
「まじ?ショックだわー」
……ちょっと待てよ。
同じような絡まれ方を一回したことがあるぞ。それは覚えている。
この人より明るい茶髪、耳にピアス、すらりと細いけどかっちりとした体形、どこか見覚えのある顔。
「あー…お兄さんより色黒なんですね?篠宮さん。」
この人、たぶん篠宮壮志さんだ。