それいけヒーロー部

「銀次郎、たかちゃんをおちょくるのは大いに結構なんだが、そのあとあたしに被害が及ばないようなフォローもお願いしたいよ。」



教室を出てすぐにまた教室で話始めるのはあまりに不自然なので、だれもいない空き教室の一角を占領してみた。


「くるみってば我儘さんなんだから!」


「でもあんだけおちょくればもう教室には来れないだろ。あの人アホっぽいし。」



年下にアホ呼ばわりされるたかちゃんの残念さに拍手だね。



「なんかアニキとか言われてたけどなんなの?」


「前にさ、いたじゃん。あたしが金的を食らわせてしまった人。」


「あぁ!!なんか変な扉開いちゃった人!」


「それ。昨日風紀室行った帰りに会って、ムカつくこと言われたもんで煽ったらバレたっぽい。」


「え、じゃああの人たちもくるみがカシューだってこと知ってんじゃん!」


「確信を持った感じではなかったから大丈夫だと思うんだけどね…。」



「今の話って葛西先輩たちは知ってるの?」


「いや、言ってない。忘れてたのもあるし、思い出したくなかったともいえる。」


「それはちょっとマズいのではないでしょうかね。あの人たち、前にオレたちでつぶした時に、先輩がどうのこうのって言ってたよね?」



つぶした時ってのは、最初にあの3人プラスもう3人の2年生が風紀の下っ端である忠犬小竹丸をボコボコにして、あたしたちにボコボコにされた時のことだろう。


「確かに…そのようなことを言ってた気がする。先輩もやられたとか。」



「くるみがあの時のスパイダーだってことがばれたら、間接的にその先輩たちにもくるみがヒーロー部だってことがばれるんじゃない?そしたら…」



「その先輩たちに狙われてもおかしくないわな。」



本当だね!それは大変だ!



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