それいけヒーロー部
頭をぐりぐりとマリリンの手に押し付けていると、電話の向こうがガサガサとうるさくなった。
「おう、馬鹿猪。また変態に付きまとわれてんだって?お前は本当に天然タラシだな。」
「海先輩…別にあたしタラシてないっすよ。勝手にあっちが変な扉を開けただけです。」
「そのきっかけはお前だろ。責任もって最後までタラシ込めよ。」
「え、嫌ですよ。あれに関わるのかなりヒットポイント削られるんですから。」
「でも今のまま放置してると、今以上に面倒くさいことになるぞ。なら先手を打つべきだ。」
「先手と言われましても…」
「孝則は何を思ったかお前を崇拝してんだろ?なんでもアニキと呼ばれてるらしいな。」
「孝則ってたかちゃんのことですよね。なんでそれを海先輩が知ってんですか?」
「教室で嬉しそうに話してくれたからな。スパイダーを見つけたかもしれないって。」
「…え、海先輩ってたかちゃんと同じクラスですか?」
「言ってなかったか?」
「…じゃあ、今日たかちゃんがあたしのクラスに来ようとしてたことも…」
「それは知らなかったさ。まぁ、待っててくださいアニキーとか言いながら走って教室は出て行ったけどな。」
「やっぱ知ってたんじゃないっすかー!というか絶対海先輩楽しんでますよね?この状況。」
「そりゃ楽しいからな。」
マリリンや銀次郎、葛西先輩が心配してくれる中、この男だけは現状を楽しいという。これが海先輩の海先輩たるゆえんなのだろう。
この男は、何だって自分の都合で面白いか面白くないかで大体の行動を決めてしまうからな。
「ま、精々ボコられないようにだけ気をつけろ。もし捕まってもボロは出すなよ。ちなみに、孝則はそこまで強くないからもしなんかあったら怪我させない程度にやってやれ。」
クラスメイト相手だってのに残酷な男だ。