それいけヒーロー部
「あー、ちょっといいかなご両人。」
「そうだな、そろそろ可哀そうになってきた。」
それまであたしと海先輩のどうでもいいやり取りをニヤニヤしながら聞いていたツンツン先輩と刈り上げ先輩が間に割って入ってきた。
「なんです?」
「ほら、本題がさ、まだだったじゃんか。」
本題…?そうだった。
今日の本題はたかちゃん先輩に口止めを…。
あれ、たかちゃん先輩、この教室に入ってから一回も口開いてなくないか?
「孝則ー教室での勢いはどうしたー?」
「そうだよたかちゃん!念願の生牧村だよ!」
「生牧村って表現やめてもらっていいすか。そこはかとなく気持ち悪い。」
「たかちゃん?ほら、アニキだよ!毎回逃げられてなかなか会えないでいた牧村アニキだよ!」
ツンツン先輩と刈り上げ先輩がたかちゃんの前で手をひらひらさせて覚醒させようとする。
もういっそそのまま永眠していただいてもあたしとしてはなんの問題もないんだけどな。
「あー、たかちゃん先輩。この間ぶりですね。何やらあたしに何度も会いに来ていただいていたみたいで…タイミング悪く毎回あたしがいない時だったみたいですけど。」
仕方がないからたかちゃんの正面に立って挨拶すると、たかちゃんの目がぎょろりとこちらを向いた。
え、こわいんすけど。
相変わらず無言だし…。
「たかちゃん、挨拶!普通の先輩のように挨拶!」
つんつん先輩はたかちゃん先輩の保護者かなんかなんですかね。