それいけヒーロー部
たかちゃんにあたしの身近な人達に手を出したら二度と蹴ってあげないことを告げた。
蹴ってあげないって言った時点で、何か大切なものを失った気がした。
「単刀直入に言います。たかちゃん先輩方にはあたしの味方になってほしいんです。」
ここでようやく本題に移る。
ここまで長かった。
「オレたち二人はもうお嬢様の味方ですけど?」
「そのお嬢様っていうのやめてください。たかちゃん先輩の目が怖くなるんで。で、たかちゃん先輩は味方になってくれます?」
「…なんで味方になる必要があるんだ?味方ってことは、敵がいるのか?」
あら、簡単にうなずいてくれるかと思いきや、ちゃんと探りは入れてくるのね。
「まず一つ暴露しますと、あたしはあなたを蹴り飛ばしたスパイダーで間違いありません。あたしはヒーロー部として活動しています。」
スパイダーだと言った瞬間にたかちゃんの目が輝いた気がするが、気のせいということにした。
「そして、今ヒーロー部には先輩方のような味方が必要なんです。この学校の悪を叩きたいんです。協力していただけませんか?」
しっかりと視線を合わせると、たかちゃん先輩の顔が赤く染まった。
え、初心かよ。
最初のチャラついた物言いはどこへやら。
「…なる。牧村のお願いなら聞く。」
「…先輩、あたしが言うのも何なんですが、そんなにチョロくていいんですか?」
「牧村のお願いだから…」
「先輩、あたしに言われたからってそんなに簡単に頷いたらダメですよ?あたしが嘘をついていたらどうするんですか。」
「牧村なら信じる。」
「…そちらのお二方、この人本当にこれで大丈夫なんですか?悪い人に壺とか珠数とか買わされそう。」
「牧村が売り子やってたら買うんじゃね?」
「心配になるレベルのチョロさですね。」
そうか、だからこの二人が保護者してるのか。
「ま、いいんじゃね?孝則、オレの可愛い幼馴染のお願いだから聞くんだもんな?それで十分だろ。ほれ、最重要事項話せよ。」
それでいいのかたかちゃんよ。
「あー、はい。あの、たかちゃん先輩、味方になっていただきありがとうございます。それで、たかちゃん先輩にさらにお願いしたいことが…」
「なんでも聞く。」
ダメだこりゃ。