それいけヒーロー部

なんかすごくしおらしく、でも饒舌に話す陣野くんを見て、思わず笑いそうになってしまった。


何が『オレ、できなくて…』だ。なんのギャグだ。



ただ、ここでツッコミを入れてしまうと、陣野くん迫真の演技が台無しになってしまうので、仕方なく合わせることにする。



「そんな、謝らないでください。あなたのおかげであたしは助かったんだから!それに、携帯だって、あなたが名乗り出てくれなかったらきっとボロボロにされてたし…あなたは、っふ…一回もあたしにひどいこと言ってないしやってない。何もっ…悪くないです。」




やばい途中ちょっと笑っちゃった。

陣野くんを見ると、下向いて笑うのこらえて震えてた。




三上委員長には、それが感動と反省の涙をこらえているようにでも見えたのか、優しいまなざしで陣野くんを見つめていましたとさ。



人間、怒りや悲しみを隠すのは割と簡単だけど、笑いを隠すのってできないもんだね。

普通に笑っちゃった。




「牧村、何笑ってるんだ?」


「いや、なんか…、助けてくれる人がいっぱいいて、自分って幸せもんだなと…っふふ」



笑いをこらえられず顔がどうしてもゆるゆるになるあたしを不思議そうにのぞく委員長にも笑いがこみ上げる。


「いって。笑ったら頬っぺた痛いっす。」



殴られた頬をさすりながらなんとか誤魔化す。


陣野くんもいつまでも下向いて笑ってないでそろそろ動き出せ。




「そういえば、委員長今日はよく目が合いますね。あたしに慣れました?」


「そ、そういわれるとそうだな。牧村は大丈夫なやつだと分かったからかもな。」


「そう言ったそばから目をそらしてますけど?」


「意識するとダメだな。」



委員長も素直にものを話すようになったな。成長成長。



「三上委員長、この人は無罪放免してください。何も悪いことしてないし、むしろ被害者。」


「そう、だな。牧村がそれでいいなら、いいだろう。ただ、他の奴らは…」



「あの人たちが今後真っ当に生きていくために、正しい判断をしてください。まぁそれは委員長というより学校の判断になるとは思いますが…」



「もちろんだ。今回のことが許されるような学校ではないということをしっかり示さなければいけない。そのために風紀も生徒会もよく考えて動く。」



「よろしくお願いします。」



お姫様は無事救出しましたよ海先輩。



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