それいけヒーロー部
4人に向かって走り出すと、足音で気づいたのか4人が一斉にこっちを向く。
お、前の1人は知った顔だ。
「あの、あっちで人が囲まれてて、助けてあげてください。」
いきなり何を言い出すんだと思われても仕方ない。
こっちは事実を伝えているだけなのだ。
なんだなんだとよく状況を飲み込めていない彼らの内の一人の手を引き、残りの三人がついてきているのを確認しながら先程の場所に戻ると、丁度囲まれている彼が胸倉をつかまれているところだった。
「あちゃー」
4人のうちの誰かがつぶやいた。
「助けてあげてください。」
「…なんでオレたちが見ず知らずの彼のために動かなきゃいけないわけ?」
「あ、鐘鳴っちゃった」
「残念遅刻だ。今日はぎり間に合うと思ったんだけどな」
「あ、やべえ。オレあと一回遅刻したら体育倉庫掃除って言われてたんだった」
「あーあ。どんまい」
そう言いながら今来た道を戻っていく彼等。
「え、ちょ、助けてあげないんですか?!」
「だから、なんで俺たちが遅刻してまで助けてあげなきゃなんないのさ。そんなにお節介したいなら、君が助けてあげればいいじゃない」
「それが、できないから…」
「なら先生呼んでくるとか、友達に電話するとか、見て見ぬふりするとか、いろいろ方法はあるでしょうが。ちょうど通りかかったからって面倒なことに巻き込まないでよねー」
……薄情なやつらだな。
別にあたしが助けられないわけじゃない。
でも助けられない理由もあるわけで、だから頼んでいるのに…
「そこにいるの、誰だ?」