それいけヒーロー部

校舎の影に隠れてはいたが、声でばれてしまったらしい。


遠ざかっていく4人組の背中を見ていると、先程の怒鳴り声と同じ声が背後からかけられた。

…結局巻き込まれるのなら、最初から自分でやってしまえばよかった。




「1年1組31番牧村くるみです。おはようございます。」



もう4人組はきっと校舎に向かってしまっただろうから別に気にする必要はない。


この場には被害者の彼と、加害者のこの3人。

口止めすれば大事にはならないだろう。



校舎の影から出て自己紹介をし、被害者の男子生徒の前に立つ。



ネクタイの色は加害者全員は青。
被害者は緑。


つまり加害者はみなさん揃いも揃って3年生で被害者は2年生ということだ。


ちなみに1年は赤。





「こんなところで何やってんだ?」


「すみません、通りすがりで音が聞こえたものですから、のぞきに来てしまいました。」


「さっき誰かと話してなかった?」


「いいえ。もうチャイムが鳴り終わっているのにここら辺ふらふらしているのなんて、あたしくらいですよ。」


「…で、見たな?」


「はい、見ちゃいました。」


「オレらのことばらされたら困るんだけど」


「あたしはしゃべりませんよ?」




一歩こっちに踏み込んできた先輩から距離を取るため、三歩下がる。

そしてそのまま勢いよく一歩踏み込んで、下から顎をかち上げるように足を振り上げた。




「むしろ、先輩たちを口止めしたいくらいです。」





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