それいけヒーロー部

「で、そういう馬鹿を取り締まるのがオレらの仕事。」



活動の対象はカツアゲ、喫煙、リンチが多いそうだ。

普通に生活している分には全くそんな気配はないというのに、裏でそれなりに起きていることらしいので驚きだ。



あんなに真っ当そうな人間の集団なのに。

みんな平凡だけど、平凡なりに高校生活を楽しんでいるというか、普通な日常が楽しいみたいな。




「オレたちの活動が少しずつ噂で広まって、これでも前より件数は減ってるんだ。まぁ、信じてなくて馬鹿やって捕まるのはいまだにいるけどね。」



だから巡回をしたりして違反者を捕まえるのか。




「…でもそれって、結局風紀とかと変わりなくないですか?」


「うーん、そこはねぇ…なんというか、風紀とか生徒指導の先生って生徒の事を信じたい?って言えばいいのかな。見ようとしないんだよね。」


「ん?どういうことです?」


「あの人たちって、オレみたいに明らかに違反者って言うのには鬱陶しいほどしつこく言ってくるんだけど、真面目そうな生徒が悪いことしても見て見ぬふりするんだよ。

お前はやってないよな?先生信じてるぞみたいな。真面目だった子が悪いことするのを認められないっていうのかな。」




「なるほど。真面目顔ならまさか悪いことしないだろうって信じて疑わないってことですか。」



「そう。しかももし悪いことしてるのを報告されたとして、なんとかこじつけてオレたちのせいにするんだよねぇ。

こいつらにやれって言われたんだよな?って感じ。」




「それはなんともひどいですね。見た目しか見てないわけですか。」



「うん。実は海がこの活動始めたのもそれがきっかけなんだ。」





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