それいけヒーロー部
「あー、まぁそうだわな。」
それまで黙っていた海先輩が顔を上げた。
「海とオレが一年のときにね、もう一人仲イイ奴いたんだ。そいつさ、やってもいないことでっち上げられて学校辞めたんだ。」
「え…」
淡々と話し始めた葛西先輩だが、その内容は非情なこの学校の現状を象徴しているような話だった。
「オレと一緒になって高校入って髪染めてさ、3人でつるんでたんだ。
で、いつもみたいに3人でつるんでた時にカツアゲの現場に立ち会っちゃってさ、そいつそう言うのは許せない正義感の塊みたいな奴だったから、加害者をぶっ飛ばしちゃった。
そこを丁度教師に見つかって、カツアゲまでそいつが指示したみたいなこと言いやがった加害者のせいで全部の罪被ったそいつは学校をやめることになった。」
「…否定はしなかったんですか?自分は指示してないって。」
「言ったでしょう?教師ってやつは、見た目が派手なオレたちの言いぶんじゃなくて、真面目な恰好をした奴らの言うことを聞くんだよ。
しかも運の悪いことにその時そいつがぶっ飛ばした加害者は風紀委員だった。オレたちと風紀委員。どっちの言い分聞くかなんて言わなくてもわかるよね?」
「風紀委員のくせに、カツアゲを?」
「そう言うことだね。風紀委員でも人間だから、鬱憤がたまればどこかで発散したくなるんじゃない?発散の方法が犯罪だなんて、笑えるよね。」
そして葛西先輩は疲れたように笑った。