それいけヒーロー部
ここで抵抗しても問題はないんだが、「いろいろと陰湿なことをしている」らしい先輩相手にあんまりこちらの弱味となる部分を見せたくない。
うっかり殴ってそれを訴えられたらたまったもんじゃないからな。
「一時間目までに間に合いますか?」
「それは君次第だよ?」
「…そうですか。善処します。」
「うん。良い心がけだね。賢い子は嫌いじゃないよ。」
「あたしどこをどうしても賢くはないので、嫌ってもらっていいっすよ。」
「ふふ おもしろいこと言うね。」
面白いこと言ったつもりはさらさらないのだが、沼田先輩にとっては面白かったらしい。
変な感性の持ち主なんだなきっと。
来いと言われてついて行った先はなんとまあ生徒会室であったとさ。
「え、先輩って生徒会の役員だったりするんですか?」
「あれ?知らなかった?」
「すいません。」
全く知らなかった。
だって普通に生徒会と関わる機会とかないし。
役員紹介の一回で顔と名前覚えると無理に決まってるっしょ。
生徒会長の顔ですらうろ覚えだわ。
「生徒会で副会長をしています、沼田篤志と言います。ま、代がわりしたばかりだから覚えられてなくても仕方ないか。どうぞよろしくね。」
そうか、そう言えばこの間生徒会選挙とかやってたな。
後期になって2年生中心の新体制になったんだっけ。
「あんまりよろしくしたくないんですけど。」
「まぁそう言わず。」
くすくす笑っている副会長さんには大変申し訳ないんだが、早く用件をすましてほしい。
ここに移動する途中でチャイムはすでに鳴ってしまっている。
これはもう遅刻としか判断されないだろう。
最近遅刻多いよなーあたし。
そろそろ担任に怒られるだろうな。
というかマリリン心配してっかも。
やっぱり無理にでも連絡しておけばよかった。
「この状況で考え事とはね。危機感とかないの?」
「危機感は一応持ってますよ。ただ、早く終わってくれないかなーとか思ってただけっす。っつうことで、早めに用件すましてくれません?」