それいけヒーロー部
「ぽた、決まりだな。」
「そうだな歌舞伎。これは決まりだ。」
「どうしようこの子チョーかっこいいんだけど!まさにヒーロー!」
「ハッピー、頭悪そうに聞こえるからチョーとか言うな。」
……はっきり言おう、訳が分からない。
なんなんだこの覆面四人組は。怪しさ満点なんでしけど。
ぽたとか歌舞伎とかハッピーとかは名前なんすかね。
「あなたたちは、もしかして…!!」
「あ、やべえ。」
ここであなたが口を挟みますか被害者先輩!
しかもなんか知ってる風な切り口にくるみさんびっくりしちゃうよ!
と、頭の中でツッコミのオンパレードだったあたしのポケットの中、1年愛用して最近傷が目立ち始めたあいぽんが初期設定のまんまの着信音と共に震えだした。
「あ、電話。」
これ幸いとこのカオスな場から逃走をしようと一歩踏み出す。
変な4人もいることだし、しかも知り合いっぽいし、被害者先輩の手当もきっとしてくれるだろう。
あいぽんの画面を見ればマリリンの文字。
同じクラスのマリリンこと江橋義行からの着信だ。
なぜマリリンという名前なのかは重要ではないため割愛しよう。
「おはよーマリリン。こちらくるみちゃんですよー」
『…お前な、とっくに時間切れだけどどこで何してんの。』
「あー今からダッシュでいくから!2分でつくから先生に言っておいて!詳しくはあとでお話するから!」
『なんでもいいから早く来いよ。先生にはうまいこと言っとくから。』
「さすがマリリン。よろしく頼む。」
電話を切ってさぁ2分で教室までたどり着かなきゃなーっと走り出そうとしたとき。
肩にかけていた鞄を誰かに引っ張られ、体重移動をしそこなった。