それいけヒーロー部
敵陣
「沼田先輩、何の御用ですか?」
次の日の放課後、教室に沼田先輩がやってきました。
昨日の今日でいきなり情報を売れとそう言うことなんだろうか。
「え、彼氏が彼女のお迎えに来たらダメ?」
「……どうしようマリリン。あたしついに日本語まで理解できなくなったのかもしれない。」
「心配すんな。俺も理解できてない。」
「つまりさっきのは日本語ではないということか。」
突然意味が分からないことを言いだした沼田先輩のことは全面的にスルーの方向で。
「くるみちゃん。あんまり彼氏であるオレのことほったらかしで江橋とイチャついてると怒るよ?」
「マリリーン。帰ろうぜー。」
「俺今日部活行かなきゃなんだけど。」
「おーまじか。じゃあ先帰っとくわ。」
「じゃ、くるみちゃんはオレと一緒に生徒会室行こうね。はい決定。」
「え、ちょ…」
そのまま腕を掴まれてぐいぐいーっと引っ張られたあたしは生徒会室まで引きずられた。
ちなみに、心配したマリリンはその間ずっと横をついて歩いていた。
さすがマリリン動じない。
あたしが連れ去られることに慣れてやがるぜ。
「江橋は部活なんでしょ?さっさと行きなよ。」
「いやぁ、親友に彼氏ができたなんて全く持って聞いてなかったんで、ちょっと詳細を聞かないといけないなぁと思いまして。」
「くるみちゃんにはこの間助けてもらってね、一目で恋に落ちてしまったオレは猛アピールをして見事くるみちゃんと付き合うことになったんだよ。ねぇ?」
それは裏生徒会のことを言っているんだろうか。
まあそっちの話は上辺だけはお付き合いしますと言う形だったからな。
でもそうか、付き合ってる設定でもない限りあたしと生徒会の副会長が一緒にいることは不自然だ。
「まぁそんな話もなくはなかったかもしれませんね。」
「くるみちゃん、江橋にちゃんと言ってやって。オレと付き合うからこれ以上付きまとうなって。」
「え、マリリンがつきまとってるんじゃなくて、あたしがマリリンに付きまとってるんですよ?」
全体的にあたしの一方通行だよ?
「……じゃあくるみちゃんはこれからは江橋に付きまとわないで。」
「そしたらあたしクラスでぼっち確定なんで無理っすね。マリリンがいないとあたしこの学校で生きていけない。」
「……仕方ないので今は引きますけど、こいつ馬鹿なんでいろいろ考え直した方がいいですよ。」
「忠告どうも。でもオレくるみちゃんのそういうところがスキだから、問題ないかな。」
「物好きですね。……じゃ、俺、部活なんで。」
最後にちょっとにらみ合っていったマリリンがかっこよすぎて叫びたくなったわ。