それいけヒーロー部
ガッチャンコもといホチキスをひょろ腹黒先輩から受け取って、そこから先はひたすら作業に没頭した。
もともと同じことを繰り返す作業は嫌いではないので、1人で黙々と仕事をこなしていく。
たまに「みすったぜ」とか「やっちまった」とか「ずれて…ない。ないぞ。」という具合で独り言が漏れるが、それもご愛敬。
ひとりでひたすらにプリントの周りをぐるぐる回り、ガッチャンコガッチャンコと針を打ち込み続けること約1時間半。
ようやく最後の一部をガッチャンコした。
「沼田先輩、おわた。」
「うん、ご苦労様。助かったよ。」
「じゃああたしは帰るっす。」
「お茶でも飲んでったら?さすがに疲れたろ。せんべいあるぞ。」
「じゃあオレたちも休憩にしようか。」
沼田先輩の言葉で、他も面々も各自自分のカップを持ち寄って先程あたしがぐるぐる周りを回っていたテーブルへと集まる。
ソファーの位置は定位置なのか、迷いなく座る様がなんとなくこの人たちの仲のよさを物語っているような気がした。
最後に会長がせんべいの籠を片手に、一番上座の席に座った。
あたしはというと、沼田先輩と会計のハムスター大塚先輩の間にお邪魔している。
沼田先輩が無理やりここに座らせたのだ。
「牧村さんって、沼田くんと付き合ってるって本当?」
全員が座った途端にそんなぶっこんだ質問が左隣から飛んできた。
ハムスター先輩だ。
「え、あの、いや、」
「え、違うのー?今回だって付き合ってる子が手伝ってくれるからーって沼田くんが言ってたよ?」
「大塚、まだ付き合い始めたばかりだから恥ずかしがってるだけだよ。」
「やっぱり付き合ってるんじゃん!沼田くんが告ったの?」
「そうだけど。」
「やーん、沼田くんって意外とがつがつしてんのねー。」
ハム先輩はもう完全に恋バナモードに入っているようだ。
というかあたしを挟んで会話しないでいただきたい。