それいけヒーロー部
「あ、今日の放課後連絡いくからね。」
それだけ言って銀次郎は自分の教室に帰っていった。
その後は特に大きな変動もなく一日が過ぎていった。
マリリンは常にあたしの横にいるし、マリリンの髪はさらさらだし、マリリンの書くノートは見やすいし、マリリンの顔は気だるげな美青年だった。
そう、つまりはいつも通りということ。
「あたし今ならマリリン教の信者になれる気がする。」
放課後になり、周りから少しづつクラスメートが減っていく中、マリリンとあたしは席に座って珍しく静かに過ごしていた。
「お前はいつも唐突にアホだな。」
「どうやったらマリリン教に入れますかマリリン様。」
「馬鹿言ってねえでそろそろ行って来いよ。」
放課後になった瞬間に海先輩から届いた指令には今日も生徒会室に潜入して探りを入れてこいと書いてあった。
ついでにうまいせんべいも取ってこいとの事。
行きたくなさ過ぎてこうやってマリリンとお話して過ごしていたのだ。
昨日のように副会長が迎えに来ない限りあたしは生徒会室に入れないと思うんだが、それを海先輩に伝えたら
『せんべい食いに来ましたとか言ったら入れんだろ。テキトーはお前の得意分野なんだから。』
というなんとも投げやりかつ無茶ブリな返信がきた。
そんなにあたしせんべい好きキャラで推す気はないんだが。
「今日はなんにもやることないんですかー?とか言って入ってったらいいんじゃね?」
「あたしそんなに仕事熱心に見える?」
「……生徒会の仕事に興味をもちましてーっつうのは?」
「あたしが生徒会に興味持つように見えます?」
「……昨日のせんべいもう一回食べたいで行って来い。」
「やっぱりそこに落ち着くのか…!切ない!」
「まぁ頑張って行って来いよ。なんかあったらすぐに迎えにいってやっから。」
「なんか無くても迎えにきて。」
「はいはい仰せのままに。携帯ちゃんと持って行けよ。」
やれやれと言った顔を隠そうとしないマリリンに見送られて任務に向かった。