それいけヒーロー部
「聞きたいことってなに?」
ハム先輩がおせんべいをぽりぽり食べながらあたしの隣に座った。
「あー、回りくどいの面倒なんで単刀直入に聞きますね。副会長ってどんな人ですか?」
「あら。付き合ってるんだから直接聞けばいいじゃん。」
「え、昨日の本当に信じたんですか?付き合ってませんよ。」
「沼田君は本当にくるみちゃんのこと好きみたいだけど。」
「あんなのただふざけてるだけですよ。」
「そうは見えないけどなぁ。ね、羽島。」
ハム先輩が向かい側に座っている会長に話を振る。
会長はおじいちゃんみたいにお茶をすすっていた。お茶が似合うな。
「あー?確かに沼田はふざけて好きだとかそういうこと言う奴じゃないからなー。それに、牧村のことは気に入ってるって前にも言ってたし。」
「前…?前っていつですか?」
「んーと、二週間くらい前からかな?牧村くるみって一年知ってる?って聞かれて、なんでって聞いたら面白い奴なんだーって言ってた。」
「わたしもそれ聞かれました。隣のクラスの牧村くるみってどんな奴?って。」
ちょうど勘違いでかっちゃん先輩たちから腹黒副会長を助けた頃だ。
女神角田さんはその質問になんて答えたんだろう超気になる。
「そんな話してたんだー。もうくるみちゃんに一目惚れとかそんなんなんじゃない?」
「いや、それは無いっすよ。」
「でも牧村さ、沼田の事助けたんでしょ?」
「あれ、その話も知ってる感じですか。」
「おう。なんか嬉しそうに話してたぞ。ヒーローが来てくれたみたいだったって。」
「ヒーロー、ですか……」
なんか想像していた話と違うなぁ。
でももしこの話が副会長の張り巡らせた罠なのだとしたらと考えると、鵜呑みにはできないな。