おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
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持つべきは友だち、という言葉をよく聞くけど。
今日は本当にそれを実感した。
泣きながら電話に出た私を心配して、香苗が大急ぎで駆けつけてくれたのだ。
しかも、「こういうときはやけ酒に限るのよ!」と言って、大量のお酒とおつまみまで持参して。
そのお酒のあまりの多さに、玄関のドアを開けた瞬間に私は爆笑してしまい、涙もひっこんでしまった。
べつに、寂しさのあまり一人ではいられなかったとか、そういうわけではなかったけど。
香苗が一緒にいてくれるおかけで、かなり気が紛れるのも事実だった。
「さあ、いったいなにがあったの? 話を聞かせなさい」
香苗にそう言われて、私はトラとの一部始終を話した。
いつの間にかトラを好きになっていたこと。
よりにもよって、婚約者がいることを知った瞬間に、自分の気持ちを自覚したこと。
好きな気持ちを隠しながら一緒に暮らすのはつらかったけど、離れたくない気持ちが勝って、なんとかルームシェアを続けていたこと。
でも、トラのお父さんの体調が悪くなって、突然、ルームシェアを解消すると言われたこと。
そして今朝、とうとうトラが出ていってしまったこと。
こっそりと私への誕生日プレゼントを用意してくれていたこと。