おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
もう、びっくりした、としか言いようがない。
まさかトラが社長令息だったなんて。
しかも、ABCみたいな大手企業の。
そんなこと一言も言ってなかったのに、と思ったけど、言われてみれば、そう思える部分もたくさんあった。
トラが借りたマンションはかなりの高級マンションで、しかも最上階の3LDK。
それに、婚約者の五十鈴さんも、いま思えば、いかにも『お嬢様』という感じだった。
そもそも、婚約者がいるという時点で、なんとなくお金持ちの香りがする…………。
逆にどうして今まで気づかなかったんだろう、と自分でも呆れてしまうくらいだ。
今日はみんながどこか浮わついていて、なかなか仕事にとりかかる雰囲気にならない。
それを見透かしていたのかどうか分からないけど、始業時刻に、突然、社長が顔を出した。
もちろん、ABC不動産の社長ではなく、我らがラララ不動産の社長だ。
「えー、みなさん、おはようございます」
ひとのいい近所のおじさん、といった風貌の社長が、前に立ってみんなに向かって話し始めた。
「みなさんも新聞やニュースで見て、すでに知っているとは思いますが………」
まさかトラが社長令息だったなんて。
しかも、ABCみたいな大手企業の。
そんなこと一言も言ってなかったのに、と思ったけど、言われてみれば、そう思える部分もたくさんあった。
トラが借りたマンションはかなりの高級マンションで、しかも最上階の3LDK。
それに、婚約者の五十鈴さんも、いま思えば、いかにも『お嬢様』という感じだった。
そもそも、婚約者がいるという時点で、なんとなくお金持ちの香りがする…………。
逆にどうして今まで気づかなかったんだろう、と自分でも呆れてしまうくらいだ。
今日はみんながどこか浮わついていて、なかなか仕事にとりかかる雰囲気にならない。
それを見透かしていたのかどうか分からないけど、始業時刻に、突然、社長が顔を出した。
もちろん、ABC不動産の社長ではなく、我らがラララ不動産の社長だ。
「えー、みなさん、おはようございます」
ひとのいい近所のおじさん、といった風貌の社長が、前に立ってみんなに向かって話し始めた。
「みなさんも新聞やニュースで見て、すでに知っているとは思いますが………」