おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
社長の言葉で、やっぱりトラの話が始まるのだと分かり、オフィスはしいんと静まりかえった。
みんなが一様に社長のほうに顔を向けている。
「えー、つい先日まで我が社の営業部で働いてくれていた日比野くんですが、
知っての通り、実は、ABC不動産の社長さんのご子息でした」
やっぱり社長は知っていたのか、と私は思った。
みんなも同じような反応だ。
社長は穏やかな笑みを浮かべて、緊張した面持ちの社員たちをぐるりと見渡す。
「みなさん、昨日はさぞかし驚いたでしょうね。
べつに隠すべきことでもなかったんですが、まあ、おおっぴらに吹聴するようなことでもなかったので、あえて言いませんでした。
実は、ABCの社長さんとは昔から個人的に付き合いがありましてね。
その関係で、悟くんを預かることになったんです」
これにはさすがに驚いて、みんなが小さく声をあげていた。
うちみたいなローカルな中小企業の社長が、いくら同じ業種とはいえ、あんな大企業の社長と懇意にしていたなんて。
でも、これでやっと、なんでトラがここで働いていたのかが腑に落ちた。
みんなが一様に社長のほうに顔を向けている。
「えー、つい先日まで我が社の営業部で働いてくれていた日比野くんですが、
知っての通り、実は、ABC不動産の社長さんのご子息でした」
やっぱり社長は知っていたのか、と私は思った。
みんなも同じような反応だ。
社長は穏やかな笑みを浮かべて、緊張した面持ちの社員たちをぐるりと見渡す。
「みなさん、昨日はさぞかし驚いたでしょうね。
べつに隠すべきことでもなかったんですが、まあ、おおっぴらに吹聴するようなことでもなかったので、あえて言いませんでした。
実は、ABCの社長さんとは昔から個人的に付き合いがありましてね。
その関係で、悟くんを預かることになったんです」
これにはさすがに驚いて、みんなが小さく声をあげていた。
うちみたいなローカルな中小企業の社長が、いくら同じ業種とはいえ、あんな大企業の社長と懇意にしていたなんて。
でも、これでやっと、なんでトラがここで働いていたのかが腑に落ちた。