おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
「私、もうすぐ結婚するでしょ」


「うん」



香苗は二ヶ月くらい前に、一年ほど前から付き合っていた彼氏にプロポーズされたのだ。



一年も経たないうちに結婚を決めるなんて、ちょっと早いんじゃない?とも思ったらしいけど、

彼氏は年上でもう三十歳を越えていて、はじめから結婚前提で付き合っていたんだそうだ。



たしかにこの歳になると、そろそろ結婚を見据えて付き合うことになる。


だからこそ、若い頃のようには気軽に付き合いだしたりできないものだ。



「ほんとおめでとう。結婚式、楽しみだな」


「ありがと。ま、それは置いといて」


「え? 置いとくの? じゃあ、なんの話?」


「真子の話」


「私の話?」



首を傾げて先を促すと、香苗がすこし言いにくそうに口を開いた。



「結婚したらさ、今までみたいにしょっちゅう遊びに出たりとか、遅くまで飲んだりとか、できなくなるじゃない?」


「あー、うん、それはそうだよね」



なんとなく、香苗の言いたいことは分かった。



「………だから、真子にもあんまり付き合えなくなっちゃうからさ。

なんていうか、………心配で」




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