おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
私はぷっと噴き出した。



「なに言ってんの、香苗!

心配することなんか全然ないし。

っていうか、なんの心配よ!」



あははと笑いながら、香苗の肩をぱしぱしと叩く。


香苗は「いてて」と笑いながらも、やっぱりどこか不安げな目で私を見ていた。



「………だってさ。

真子、ここ一年、私のこと誘う回数、すごく増えたじゃない」



ここ一年、と聞いて、私はどきりとする。


だから、あわてて笑みを顔にはりつけた。



「えー、そう? たまたまじゃない?

最近、仕事が暇だからさ!」



「うそ。最近は任される仕事が増えて、残業で大変って自分で言ってたじゃない。

本当はすごく忙しいんでしょ?」



「………」



鋭いな、香苗は。


私は何も言い返せなくなって押し黙った。



たしかに、ここ一年は、仕事終わりに香苗や他の友達を飲みに誘うことが増えた。


休日もランチに誘っり、ショッピングや小旅行に誘ってみたりしている。



どうしても都合がつかないときは、一人で街をぶらついている。



「―――家にいるのがいやなんでしょ?」



香苗が確信めいた口調で言った。




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