おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
「おっ、今日も美味そう!」


トラはさっそく鮭の切り身に箸を入れた。

ぱくっと口の中に放り込み、目を細める。

ご飯をかきこんで、味噌汁をすすって、一言。


「あー、美味い………五臓六腑に染み渡る。うさ、お前、天才!」


私は頭をかきながら、


「いやあ、それほどでも~」


と答えた。


「マジで美味いよ。目え覚めたわ。朝から和食とか、贅沢だよなあ」


トラが真剣な顔でそう返してくる。


私は大して料理上手でもないんだけど、そんなふうに言われると、満更でもない気分になってしまう。

思わず口許がにやけるのを感じながら、私は納豆をかき混ぜた。


白いご飯に、お味噌汁。

玉子焼き、焼き鮭。

納豆、海苔。


自分でも恥ずかしくなるくらい、ベタで質素な、『THE 日本の朝食』という感じのメニュー。


実家の朝ごはんがずっとこんな感じだったので、どうも朝は和食じゃないと落ち着かないのだ。



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