おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
てなわけで、私は今、すこぶる順調で活力に満ちた毎日を送っているのだ。


だから、ちょっとくらい忙しくたって、いや、殺人的に忙しくたって、大丈夫、大丈夫………。




「………じゃないよー、全然……」



午後9時。

すっかり人数の少なくなったオフィスの真ん中で、私は泣きそうな声をあげて机に突っ伏した。


隣の赤木さんは、鬼気迫る顔の眉間に深いしわを刻みながら、ものすごい勢いで伝票をめくりつづけている。



「いったい何時になったら帰れるんですかね、私たち」


「さあね………終電は逃したくないわね」


「あははー、やっぱそういう時間ですかね」


「そりゃそうでしょう」



私はがっくりと項垂れた。


でも、こうしている時間ももったいないと思い直し、とりあえずキーボードの上に手を置く。



「なんとしてでも10時には終わらせてやる!」



鼻息も荒く豪語すると、「そりゃ頼もしい」と赤木さんが笑った。



正直、パソコンの使いすぎで肩も腰も腕もぱんぱんだ。

身体が重い。

ディスプレイを凝視しているせいか、目の奥が痛い。


うう、早く帰りたいよ。

帰って部屋でごろごろしたいよ………。




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