おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―







「―――は? なにそれ、どういうこと?」


私の目の前で唖然とした顔をしているのは、高校時代の同級生で一番の親友、香苗だ。


今日は休日。

やっと予定が合ったので、久しぶりに香苗とランチを食べに来ているのだ。


恒例の近況報告をしあう中で、香苗とも面識があった前の彼氏と別れたことを告げた。

香苗は私が彼と同棲していたことも知っていたので、「じゃ、引っ越したの? 今どこに住んでるの?」と訊ねられて、トラのことを打ち明けたのだ。


そしたら、この反応。


「ちょ、ちょ、ちょっと待って………」


香苗は慌てたように野菜のソテーをごくりと飲み込み、グラスの水を飲んでから、私をじっと見つめた。


「話を整理させて」

「うん」

「つまり真子は今、付き合ってもない同僚の男と………同棲してるってこと?」


私はフォークで刺したハンバーグを口許に運びつつ、「だから、ちがうって」と顔の前で手を振る。


「同棲じゃなくって、同居。ほら、いま流行ってるじゃん、ルームシェアってやつよ」


すると香苗は「ああ、なるほど」と安堵したように言った。


「他にも何人か一緒に住んでるってことね」


私はまた「ちがうちがう」と手を振って否定する。



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