おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
「はあ? じゃあなに、私とか女友達と一緒に住んでるみたいな感じってこと?」

「ええと、うーん」


私は首を捻りながら言葉を探す。


私とトラの関係。

あの空気感を、どうやって説明すればいいんだろう。


「女友達のノリとはちがうんだよね。トラって別に女っぽいとかは全然ないし。でも、一緒にいても、性別の違いとか壁とか感じないっていうか」

「なにそれ。じゃあ、真子にとっての男友達ってやつ?」

「まあ、そうだね。それが一番近いかな」

「ありえない! 男女間に友情なんて成り立たないから!」


香苗は何度も「ないない、ありえない」と首を振っている。


「いや、私だってそう思ってたよ? 今まで一人も男友達なんていなかったし」

「そりゃそうでしょ」

「でもさ、トラはちがうの。なんか、一緒にいても全然気にならないっていうか」


説明しているうちに、だんだんと考えがまとまってきた。


「むしろね、すごく気楽で、楽しくて、落ち着くんだよね」


そうだ。

トラと一緒にいるのは、すごく楽しくて、気楽。


男と一緒にいるときの居心地の悪さとか、変な圧迫感みたいなものが、トラといるときには全く感じられないのだ。



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