おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
ぶつぶつと独り言を言っている自分の不気味さに辟易して、口をつぐむ。
すると、冷蔵庫の音がやけに耳についた。
この部屋、こんなに静かだったっけ………。
―――カチャ
突然、玄関から音が聞こえてきた。
私はぴくりと肩を震わせて、弾かれたように立ち上がる。
それから早足で玄関へ向かう。
玄関のドアが外から開く前に、自分で勢いよく押し開けた。
「おっかえりー、トラ!」
「わっ」
満面の笑みで出迎えると、トラは驚いたように声をあげた。
「びっくりした………いきなり開けんなよな、心臓に悪い」
「あはは、ごめーん! 待ちきれなくてさ!」
私はにやにや笑いを浮かべて、肘でトラの脇腹をつつく。
「まったくさあ、何で黙ってたわけ?
婚約者がいるなんて、これっぽっちも聞いてませんでしたけど?
水くさいじゃん、私たちルームメイトなのにさ!
ま、いいけどねー。
それよりさ、ねえ、あの子、五十鈴さんだっけ? の話聞かせてよ。
どこでどうやって知り合ったの?
何て言ってプロポーズしたわけ?
こうなったら、ぜーんぶ洗いざらい吐かせてやるからね!
今夜は寝かさないぞー、なんてね」
私はトラの手を引っ張ってリビングに向かいながら、一気にそう言った。
一度も振り向かずに。
トラの顔を冷静に見る自信がなかったから。
すると、冷蔵庫の音がやけに耳についた。
この部屋、こんなに静かだったっけ………。
―――カチャ
突然、玄関から音が聞こえてきた。
私はぴくりと肩を震わせて、弾かれたように立ち上がる。
それから早足で玄関へ向かう。
玄関のドアが外から開く前に、自分で勢いよく押し開けた。
「おっかえりー、トラ!」
「わっ」
満面の笑みで出迎えると、トラは驚いたように声をあげた。
「びっくりした………いきなり開けんなよな、心臓に悪い」
「あはは、ごめーん! 待ちきれなくてさ!」
私はにやにや笑いを浮かべて、肘でトラの脇腹をつつく。
「まったくさあ、何で黙ってたわけ?
婚約者がいるなんて、これっぽっちも聞いてませんでしたけど?
水くさいじゃん、私たちルームメイトなのにさ!
ま、いいけどねー。
それよりさ、ねえ、あの子、五十鈴さんだっけ? の話聞かせてよ。
どこでどうやって知り合ったの?
何て言ってプロポーズしたわけ?
こうなったら、ぜーんぶ洗いざらい吐かせてやるからね!
今夜は寝かさないぞー、なんてね」
私はトラの手を引っ張ってリビングに向かいながら、一気にそう言った。
一度も振り向かずに。
トラの顔を冷静に見る自信がなかったから。