クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
1、突然の再会
「圏外だから」

高校時代、憧れだった二年上の先輩に初めて告白して、返ってきた返事がその言葉だった。

先輩とは話をするような間柄じゃなかった。

家が近かったわけでも、同じ部活だったわけでもない。

ただ、私が一方的に好きで片想いしてだだけ。先輩は私の顔も名前も知らない。

先輩の卒業式に思い切って告白したのは……今考えても魔が差したとしか言い様がない。

相手は容姿端麗、文武両道の生徒会長。それに引き替え、私は顔は平凡だし、頭も普通。

おまけに酷い近眼で眼鏡をかけてて、冴えない外見。とてもじゃないけど彼とは釣り合わない。

遠くで見てるだけで満足だったのに、何で「好きです」なんて言っちゃったんだろう。

先輩が卒業して姿を見れなくなるのが寂しかったから?

ただ自分の想いを伝えたかったから?
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