クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「じゃあ、 陽世莉先輩、必要なものがあったら遠慮なくお兄ちゃんに言って下さいね。
私も時々様子を見に来ますから」

絢香の言葉にひよこが「はは」っと力なく笑う。

そんなひよこを見ていると痛々しくて仕方がない。

絢香と真田が帰ると、俺は半分放心状態のひよこに声をかけた。

「夕飯に煮込みうどん作りたいんだが、手伝ってくれないか?」

このままそっとしておくよりは、何か仕事を与えた方がいいだろう。

「……あっ、はい」

ボーッとしていたひよこだが、俺の声に反応してソファーからゆっくりと立ち上がる。

「よそ見してまた火傷するなよ、ひよこ」

俺はひよこの頭にポンと手を乗せると、そのまま彼女をキッチンに誘った。

さっき真田の言葉を否定したが、確かにひよこを見ていると庇護欲をそそられる。

妹の絢香もそれなりに可愛がってきたが、絢香は何でもそつなくこなすし、俺が手を貸す事はほとんどない。
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