クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
真田さんは優しい目でそう告げて、私の頭をヨシヨシと撫でると歩み去った。

……私が朝比奈先輩怖がってるのバレバレなんだ。

しっかりしなきゃ。

自分の頭をコツンと軽く叩くと、ゴミ捨て場にゴミを捨てて、オフィスに戻った。

それから、課のみんなで今夜の会場である高級すき焼き店にタクシーで移動。

私は佐藤さんにくっついて座敷に上がる。

「じゃあ、佐藤さんと陽世莉ちゃんはそこに座って下さい」

織田君の指示で佐藤さんと並んで座布団に座ると、朝比奈先輩と真田さんもやって来て席に着いた。私の前が真田さんで、佐藤さんの前が朝比奈先輩。

真田さんが私の前で良かった。

私はホッと肩を撫で下ろす。

朝比奈先輩だったら、生きた心地がしない。彼だって一日中私の顔なんか見たくないはずだ。

織田くんは幹事だけど末席に座らず、私の斜め前に陣取る。
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