クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
……美味しい肉のはずなのに……なぜか味を感じない。

味覚がないほど、今の私は疲弊しきっているのだろうか。

「本当に美味しいですね」

ヘラヘラ笑って無理矢理口の中に肉を押し込む。

それを何度か繰り返すうちに気分が悪くなり、視界が霞んできた。

あ……まずい。気持ち悪い。

「ひよこ……?」

私の異変に気づいた朝比奈先輩が私に声をかけるが、今にも吐きそうで返事も出来なかった。

「私……トイレ……」

周りを気遣う余裕もなく、フラフラと席を立ってトイレに向かう。

「うっ……気持ち悪……」

吐き気が酷くて、やっとの思いでトイレに入ると胃の中の物を全部吐き出してしまう。

空きっ腹でビールを飲んだのが良くなかったのかもしれない。それに、無理に食べたのもいけなかったかも……。
< 115 / 297 >

この作品をシェア

pagetop