クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
胃液まで吐いたせいか、口の中も気持ち悪い。

手を洗い口の中をゆすいでトイレを出るが、意識が朦朧としてきて歩けなかった。

「辛い……。家に帰りたい」

誰もいない通路に切なく響く私の声。

床にくずおれると、私は通路の壁に持たれかかった。

帰りたい……。でも……私の家はもうないんだ。

苦しくて……悲しくて……涙が頬をつたる。

「辛いよ……。誰か……たす……け……て」

息を吐き出すように呟くと、私は意識を手放した。



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