クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「今度は無視?いいの?そんな悠長にしてて。織田に奪われるよ。朝比奈が興味持つ女の子なんてこの先現れないかもしれないんだから、池野さんを大事にすべきじゃないかな?」

「煩い」

真田をギロリと睨むが、こいつは懲りた様子もなくニコニコ顔で聞いてくる。

「じゃあ、ちょっと話を変えようか?会長はどんな意図で池野さんの履歴書を持ってきたのかわかった?池野さんって朝比奈家には関わりないんでしょ?」

「さあ。こっちが聞かなくても、そのうち向こうからやって来るさ」

「ふうん、それは楽しみだね。もし会長が池野さんを朝比奈の嫁にって考えてるなら好都合じゃない?」

……何が楽しみだ。干渉される方はたまったものではない。

朝比奈家では、祖父の命令は絶対。だが、俺は祖父が勧める縁談をいつも断ってきた。それが許されたのは、仕事で成果をあげてみせたからだ。

祖父の思惑通りになるのは自分としては面白くない。

「ちょっと、そこの二人!何をこそこそ話してるんですか?」
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