クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
タクシーがマンションの前に着くと、荷物を肩にかけ運転手に手伝ってもらってひよこを抱っこし、マンションの中に入った。

フロントにいたコンシェルジュが荷物を運ぶのを手伝ってくれて、なんとか家の中に入る。

玄関で身を屈めてそっとひよこを降ろすと、彼女のパンプスを脱がす。自分も靴を脱いで彼女の方に向き直ると、彼女と目が合った。

だが、目がとろんとしていて夢か現かわからない状態。

「……あ、朝比奈……先輩……?」

「店の通路で具合が悪そうに寝てたから連れて帰って来た」

簡単に状況を説明してやるが、理解しているかはわからない。

「……うっ‼また吐きそ……」

辛そうに口に手を当てるひよこの身体を慌てて抱き上げ、トイレに運ぶ。

「うっ……」

便座に手を当てて苦しそうに吐くひよこの背中を俺は何度も優しくさする。
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