クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「こっちは迷惑だなんて思ってない。だから、謝る必要はない」

素っ気ない言い方になってしまった事を反省しつつ、寝室に入りひよこの身体をベッドに横たえると、ベッドの横のライトをつける。

それから、ひよこがパジャマに着替えるのを手伝って寝室を出ようとすると、彼女のすすり泣きが聞こえた。

「ひよこ……?」

踵を返して戻ると、ひよこが壁の方を向いて布団に口を押し当てて泣いていた。

『家に帰りたい』と、小さく悲しい声で彼女は懇願する。

俺はベッドに腰掛けながら、黙ってひよこの頭を撫でた。

泣いている理由は聞かなかった。

精神的にかなり参っているのだろう。泣きたいなら気の済むまで泣いた方がいい。

しばらく側についているとひよこのすすり泣きが止まり、代わりに寝息が聞こえてきた。
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