クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「同居の事がバレたらどうするんですか?」

私が不安顔で聞くと、朝比奈先輩は平然とした表情で告げた。

「会社の駐車場も地下にあるし、そう簡単にはバレない」

……そう言われても不安は消えないんですけど……。

先輩だってバレて変な噂立てられたら嫌でしょう?

私は小さく溜め息をつく。

カタンとダイニングテーブルにお皿を置く音がしたかと思ったら、先輩が私に声をかけた。

「ほら、これ食べろ」

振り向くとテーブルの上には小さな土鍋が置いてあって、朝比奈先輩が鍋の蓋をあける。

立ち上る湯気と共に美味しそうな卵雑炊の匂いが漂った。

……私のために作ってくれたんだ。

ジーンと胸が熱くなる。

「冷めないうちに食べろよ」

「……はい」

席に着いて手を合わせ、「頂きます」と言ってレンゲで雑炊を掬って口に運ぶ。
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