クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
今日の昼休みに買い取り業者の下調べをして見積りをしてもらい、査定額の一番高い店に指輪を持ち込んだ。

青いベルベッドの小さな箱に収められた一カラットのダイヤの指輪は、母が父からプレゼントされた婚約指輪。

父の実家が裕福だった事もあってか、その指輪にはめられたダイヤは割りと大きくて質も良かった。

店の奥に通され、白い手袋をした男性にその指輪を差し出すと、男性はルーペを使って注意深く指輪をチェックする。鑑定書があればもっと査定額が上がったようだけど、私が本屋でもらっていた一ヶ月のお給料よりは高い金額を提示された。

手離すのは凄く辛かったけど、自分が頼れるものがこれしかないのだから仕方がない。

最後に母の指輪を目に焼き付け、私は三十万ちょっとの現金をもらった。

心が凄く重かったけど、私のせいで朝比奈先輩にこれ以上迷惑はかけられない。
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