クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
身内でもないのに彼にフレックスまで使わせて……私は一体何をやってるんだろう。

現金を手にトボトボと銀座の街を歩いていると、朝比奈先輩と真田さんにバッタリ出くわした。

「ひよこ?」

「あれっ、池野さん?」

恐らく客先での打合せが終わったその帰りなのだろう。

そう言えば、朝比奈先輩のホワイトボードの行き先表示に【双葉銀行@銀座】って書いてあったっけ。

朝比奈先輩の家にお世話になってからは必ず彼の予定をチェックするのが癖になっていた。

なるだけ彼は帰宅する時間は自分に宛がわれた部屋にこもっていたかったからだ。

朝比奈先輩の邪魔にならないよう、なるだけ自分の気配を消しておこうと思った。

「何か買い物?」

真田さんが優しく声をかける。
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