クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「ほう?どうやって?まさか、消費者金融から金を借りたんじゃないだろうな?」

「違います!母の形見の指輪を売ったんです!」

朝比奈先輩の言葉にちょっとムッとした私は、声を上げた。

「母親の形見の指輪を売った?」

朝比奈先輩の目がブリザードのように冷たくなり、その場の空気も一気に冷え込んだ。

顔が能面のようなんですけど……。なんだか……怖い。

これは……怒ってる。でも、何で怒ってるの?

私の頭は混乱していた。

「僕、お邪魔みたいだから帰るね」

真田さんは状況を察したのか、控え目にそう告げて立ち去ろうとする。

あっ、真田さん、待って!

こんな状態の朝比奈先輩と二人にしないで!

心の中で必死に叫ぶが、そんな私の願いも虚しく真田さんは後ろ手を振って去っていく。
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