クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「どこに売ったんだ?」

氷のように冷たい朝比奈先輩の声に、身体がビクッとした。

「……この先のダイヤの買い取りの店です」

黙りを決め込む訳にも行かず、おずおずと正直に話す。

「行くぞ」

朝比奈先輩が私の手を強くつかんで歩き出す。

「ち、ちょっと待ってください。どこに連れていくんですか?」

私は訳がわからなくて立ち止まる。

「お前がダイヤを売った店に決まってる」

ブスッとした顔でそう告げると、朝比奈先輩はまた私の手を引いて足早に歩き出した。

店に入ると、朝比奈先輩がさっき私の応対をした男性に声をかける。

「この女性が先程買い取りしてもらった指輪を買い戻したいんだが」

朝比奈先輩が事情を説明すると、その男性が店の奥から母の形見のダイヤを出してきたが、買い戻すのに提示された金額を聞いて唖然とした。
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